ふるでぃーの本棚

読んだ本の内容整理。

Jeff Coulter, The Social Construction of Mind(=西阪仰訳,1998,『心の社会的構成』,新曜社.

第一章

一 行為の帰属・行為

1.行為は文化の内側から記述されなければならない。

2.記述もまた行為であり、コンテクストに依存する。

3.記述とはしばしば、行為の間に繋がりを作り出すということになる。

 

二 行為の因果説明

1.慣習的な約束事や行為はある種の曖昧さを持っている。

2.理由そのものと行為を結び付けて考えることはできない。

2.1.行為の理由を行為に先立って知ることはできない。

2.2.行為の理由を所持していることと、その人の心の状態は別である。

3.環境が行為とかかわるのは規範としてである。

3.1.逸脱もあり得るため、決定論的に行為を語ることはできない。

3.2.逸脱の一様性から行為者の活動は説明できない。

 

三 日常的活動へのエスノメソドロジー的関心

1.行為はしかるべき仕方でその場ごとに達成されていく。

2.様々な観察された相互行為の経過において理由付けはどのような構造のもとになされるか、成員たちはどのような慣習にどう志向しているのか、を分析していくことが目指される。

3.「常識」を持っている成員は秩序だった仕方で行動できるための手段を持っている。

3.1.そのような知識は「実践知」と呼びうる。

3.2.エスノメソドロジストは実践知を解明する。

3.3.実践知は「社会的構造についての常識的知識」の革新である。

4.実践知は自然言語の習熟と結びつきをもっている。

4.1.自然言語への習熟は言語の知識を超えた、実践知を獲得することになる。

4.2.常識としての能力は、ほぼ、自然言語を使う能力と同じ拡がりをもっている。

4.2.1.両社は互いを構成しあっている。

4.2.2.一方が変化すれば他方も変化する。

4.3.言語と共通文化は同時に学習される。

4.4.他人に語り掛けることを通して共通文化の綻び及び共通性を発見する。

4.5.発言するということは権利と義務のサンクションのシステムに参与することである。

4.6.発言から推論をする、また、結論を導く権利は、同じ自然言語を習得しており、同じ自然言語に参与することによって保障される。

4.6.1.専門用語使用者との間でも共通性は保障される。

4.6.1.1.専門用語は日常言語によって説明される。

5.社会的現実(コミュニケーション的相互行為の現実)を分析する際、内容的記述・説明と別の水準に立って研究しなければならない。

5.1.無自覚な規範的態度決定から自由である社会学として最も有望なのは、通常のコミュニケーション的相互行為を支えている理由付けや前提の抽象的な(形式的な)構造を研究することである。

5.1.1.このような企ても、実際的な理由付けや常識知から逃れられない。

5.1.1.1.常識には規範的な性格がついて回る。

5.1.1.1.1.常識そのものを研究対象とすることができる。

5.1.2.このような研究には自然に生起する会話のトランスクリプションが用いられる。

6.理由付けの構造は文化的である。

6.1.発話や行為の意味は文脈依存的である。

6.2.エスノメソドロジーのコンテクストにおいては、いかなる脱文脈的な適合規則もあり得ない。

6.3.理由付けとコミュニケーションの一定の側面が明らかにできるならば、それで分析は健全である。

 

四 規範的描写と分析的解明

1.会話分析を通して提示された分析的命題は、もしそれが正しければ、それぞれ別sのデータを解明するのにも役立つ。

2.これは、析出された特定の慣習や理由付け・手続きは当該の自然言語共同体のどの成員も利用できるからである。

3.社会学的研究は社会的相互行為の具体的な個々の事柄との結びつきを失ってはならない。

4.社会学的問題が社会的問題と取り違えられてもいけない。

4.1分析的な問題は規範的な事々の織り成す常識的世界の中でどの立場をとるかということに限定されてはならない。